2023/02/21
コラム
商圏分析にはいくつかの種類がある
新規にお店をオープンする際は、地域でのニーズを調べることは不可欠です。
競争相手が多いことは繁華街においてはメリットとなる場合もありますが、住宅街への出店となると競争相手はできるだけ少ないに越したことはありません。
出店前の事前分析として商圏分析があります。これにはいくつかの分析方法があり、代表的なのがハフモデル分析と重回帰分析です。重回帰分析は店を出す地域周辺にポテンシャルがあるかどうかを重視する分析方法です。
商圏分析にはいくつかの種類がある
出店におけるポテンシャル、いわゆる潜在的な可能性とは、単に繁華街であるとかオフィス街であるとかいったことだけでなく、そもそもこの地域に商圏性はあるか否かが一番重要視すべきポイントです。
大通りに面している方がメリットだと考えがちですが、周辺に競合相手が多数存在する場合は利用者の奪い合いとなり、結果的に負けてしまうことになりかねません。
それよりは、大通りから1本中に入った通りの方が、意外と地元の人たちの利用が多くあり、静かで好まれる商圏要素を持っていたことから、成功するというケースもあります。
商圏分析には重回帰分析以外にも、ハフモデル分析と呼ばれる方法があり、こちらの方がより多く使われているといっていいでしょう。
1960年、アメリカカリフォルニア大学のデイヴィッド・ハフ博士が考案した商圏分析の方法で、消費者が買い物のために商業施設に出かける確率を、自宅からの距離と店舗の大きさから数値を割り出す計算式です。
ハフ博士の研究結果によって、店舗の大きさが大きいほど、小さな店舗よりも多くの人が訪れる確率が高いことと、店舗への距離が他の店舗よりも遠くなるにつれ、来店する確率は下がるという2つの要素が明確になりました。
これがハフモデルと呼ばれる、商圏分析の中でも最も代表的な分析方法です。
たとえば、スーパーマーケットを新しくオープンさせるとなった場合、ハフモデル分析に基づいて考えると、周辺にあるスーパーマーケットよりも規模が大きいことと、出来る限り住宅街に近いところに建てる必要があります。
スーパーマーケットには毎日行くという人も多いことから、できるだけ近いところにあると感じてもらえるよう、周辺のスーパーの中では一番大きな規模でありながら、住宅街に限りなく近いところに建てることがベストだということが、ハフモデル分析によって判明するわけです。
商圏分析をするのは、出店前にどの程度の利益や集客が見込めるかという確率を数値化するためですが、ハフモデル分析における店舗の規模と自宅からの距離を計算式によってはじき出した数値のことを、吸引率と呼びます。
数値を表す割合を示す言葉としてはなかなかユニークですが、消費者がお店に惹かれて訪れる様は、まさに吸引されていくと言えるでしょう。
この吸引率をいかに高くするかが、出店後にしっかりと利益を上げられるか、永続的な事業につながるかの大きな分かれ目となります。
ハフモデル分析を行った結果、吸引率は問題ないのに、来店客数が今一つ伸びないということが際問題としてしばしば起こります。
これがハフモデル分析における問題点で、これをもとに修正ハフモデルが生まれました。
計算式からはじき出した数字を見るに、もっと吸引率が上がってもおかしくないのに、ちっとも事前の分析通りにいかないと、商圏分析が間違っていたと考えてしまいがちですが、実際には吸引率が上がらない要素はほかにあると考える必要があるのです。
規模や距離は問題なくても、何となく店内の雰囲気や品揃えが十分でなければ、特にスーパーのようなお店は吸引率が下がるのは当然のことです。
ちょっと足を伸ばせば、規模は小さくなるけれど清潔で居心地の良い店があるとか、品揃えが豊富なために、欲しいものが必ず買えるといった要素があれば、せっかくのハフモデル分析を活かすことはできません。
ハフモデルはあくまでも吸引率を知るための分析値であって、来店客に魅力ある店だから、いつもここを利用しようと思ってもらえるかどうかは、店側の努力次第なのです。
そのため、修正ハフモデルではこれまでの店の規模と住宅からの距離に加え、営業時間の設定や、店内にどのくらいのテナントが入るか、さらにそのテナントにブランド力があるのかといった要素も計算に取り込んでいます。
その結果、より高い吸引率を割り出せるようになったため、商圏分析でハフモデル分析を行う場合、修正ハフモデルがおすすめです。
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