2016年2月23日
WET(Whole Effluent Toxicity)とは?
WET(Whole Effluent Toxicity)とは、排水が生態系に与える影響を「魚類(ヒメダカ等)」、「甲殻類(ニセネコゼミジンコ)」、「藻類(ムレミカヅキモ)」などの水生生物を使って評価する手法のことを言います。国内では環境省により2009年から法規制に向けた検討がおこなわれ、新たな環境管理手法として注目され始めています。
最近では製造業に勤める環境担当者の1/3が動向を気にしているというアンケート結果が出ており、工場の排水管理・環境管理の観点から関心が高まっています。
なぜWETか?

現状の水質汚濁防止法において排水基準が定められている項目は、健康項目として28項目、生活環境項目として15項目 の43項目だけとなっています。
国内外で使用されている化学物質は10万種にも及ぶとされ、工場等の排水には未規制の化学物質が多く含まれます。これら未規制の物質による人や水生生物等への影響については未知な部分が多く、現状の一律排水規制のみでは悪影響の未然防止には不十分であると言えます。
そこで排水全体を管理する手法として出てきた考え方が、 「生物応答試験を用いた排水管理(通称:WET)」です。
日本版WET導入への動き
海外では、米国で1990年代に導入され、カナダ、ドイツ、フランス、韓国などでも導入されています。
日本では環境省において2009年度から日本版WETの法規制に向けた検討を開始し、2012年度までに制度・運用方法の検討や試験分析機関等に対する生物応答試験法に関する情報提供等をおこなっており、将来的には法規制される可能性があります。
検討が進められる中で、下図に示す制度の枠組案が提案されました。
行政から企業に対する褒賞制度が検討され、企業のイメージ及び価値の向上に活用出来る仕組みが考えられています。