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環境ソリューションホワイトペーパー

2016年2月4日

不動産売買・証券化におけるリスクマネジメント

不動産取引・証券化に関わる土壌汚染の現状

土壌汚染がもたらすリスクの代表的なものは、土壌汚染による不動産取引への影響です。土壌汚染が判明したため建設途中のマンションを取り壊したケースをはじめ、土壌汚染が原因となった不動産取引への深刻な影響が各地で発生しています。このため、土地取引においては土壌汚染が無いことを契約の条件とすることにより、リスク低減が図られることが多いのが現状です。

こうしたリスクは健康リスクと異なり、操業中の事業所、土地の売却時、開発時等において日常的に生じうるリスクであり、その顕在化の事例も数多くあげられています。また、土壌汚染対策法の施行に伴い、土壌汚染の実態が明るみになるに従い、経済リスクの顕在化もさらに拡大することが予想されます。

開発側の事業者は、こうした土壌汚染がもたらすリスクについては、十分認知しており、開発事業の際には過去の工場等の存在履歴を確認するPhase 1調査が必ずといっていいほど実施されるようになってきています。しかし当然調査及び対策をした上で、取引をおこなったほうがよいことは理解しているものの、そのための調査仕様、コスト、期間については、まだまだ認知されていません。また事業者側が調査内容やコストの妥当性について十分な評価をおこなうことは、専門性が高いため困難な面もあります。

発生しうるリスク

法的リスク
  • 法律違反による調査・措置命令
  • 罰則、操業停止処分 等
財務リスク
  • 土壌汚染対策コストの発生
  • 被害に対する賠償金等の発生
  • 土地売却/開発益の減少
  • 不動産資産価値の低下
  • 株価/環境格付けの低下
  • 土地売却の期待利益の消失
  • 金利負担の増大
営業リスク
  • 環境ISO認証取得への影響
  • 住民反対運動の勃発
  • 企業イメージの低下
  • 市場競争力の低下

法律・条例での調査義務

廃止が決定している有害物質使用特定施設に係る工場または事業所の敷地、3,000m2以上の土地の形質変更を行う場合及び、土壌汚染により人の健康被害が生じるおそれがあると認められる土地を売買するような場合には土壌汚染対策法において調査義務が課せられます。

土壌汚染対策法について

また東京都や大阪府をはじめとする一部の都道府県等地方自治体の条例では、一定の面積における土地改変を実施する場合において調査義務が発生する場合があります。さらに、自主調査の調査結果について自治体への報告義務を負うものもあります。

調査の契機 情報公開
東京都
  • 一定規模(敷地面積 3000m 2 )以上での土地の改変
  • 地下水汚染が認められる地域に有害物質取扱事業者が存在するとき
  • 工場・事業所の廃止
    (過去の事業所等により取り扱っていた有害物質も調査の対象)
開示請求があった場合に対応 (ただし周辺への影響がある場合は別途対応)
処理対策概要の掲示を義務付け
大阪府
  • 一定規模(敷地面積 3000m 2 )以上での土地の改変
  • 工場・事業所内での土地の改変
  • 工場・事業所の廃止
  • ダイオキシン類管理対象事業所はダイオキシン類も調査の対象
管理区域台帳による管理
名古屋市
  • 一定規模(敷地面積 3000m 2 )以上での土地の改変
  • 土壌・地下水汚染のおそれがあるとき
  • (過去の特定有害物質取扱事業者も対象)
  • 工場・事業所内での 500m 2 以上の土地の改変
ホームページへの掲載
台帳管理
記者クラブ 「土壌汚染等の報告に係る公表等に関する指針」

不動産取引において土地売買後、杭工事及び地下構造物建築工事に際し根切り残土が発生する場合が多々ありますが、土壌汚染の観点とは別に残土処分に関して条例で定めている地方自治体にその発生した残土を搬出する際には、残土条例に準拠して一定の有害物質について調査義務が発生する場合もあります。法及び条例に準拠して土壌調査を実施し、土壌汚染の発生が認められなかった土地においても、残土を搬出する際に有害物質の分析を実施し結果的に深部から汚染土壌が発見された場合などは、その処理に膨大な費用がかかる可能性があるということです。

リスクの低減

リスクを低減する目的は、土壌汚染による経済リスクが企業活動に与える影響を、許容できるレベルにまで少なくすることです。不動産開発業者は多種多様な土地を取扱う以上、それぞれの局面において正確にリスクを予想し、その場に応じた方法によりリスクを低減、予防、移転、保有することが要求されます。

まず不動産売買及び証券化において土壌汚染リスクを明確に予想するには、その利害関係者が全体のニーズを正確に把握する必要があります。不動産売買を行う当事者間(売主・買主)においては対象不動産の土壌汚染状況を明確に理解しWin-Winの契約関係を築くこと、土地売買後にマンションを建設するような場合には不動産購入者(エンドユーザー)、不動産の証券化においてはその投資家に対して土壌汚染発生有無の実態を説明し、その土地が安全であり且つ資産価値が高いことを証明することが最も重要なこととなります。

不動産売買当事者間におけるリスク低減

売主は買主とWin-Winの関係を結ぶ最善の手段は買主が将来活用しうる土壌調査を実施し、且つ対象不動産の土壌汚染可能性を把握することにあります。土壌汚染の可能性をまったく把握しないまま、後々に発生しうる瑕疵担保責任を契約上免責したとしても、その対象不動産の購入額は著しく低下し、また相互信頼が確立されないことにより企業イメージが低下します。最終的な不動産購入者及び投資家の価値を認識したうえでその安全性を証明しうる調査を実施することが重要です。しかし昨今の不動産取引において売主側で実施される調査は、買主側が将来活用しえないものが多いのが実体です。

買主はこのような場合には契約締結の前段階で、下記の事項を注意することで土壌汚染のリスク低減が可能となります。

  • デュー・デリジェンスの実施(買主による土壌汚染リスクの認識)
  • 売主が提示する調査内容の報告書精査
  • 契約書において売買契約により土壌汚染問題が生じた際の紛争解決方法の明文化
  • 保険を活用する

開発事業者のリスク低減

一般的に法律及び条例に基づいて土壌汚染状況調査を実施し、調査対策が完了した場合には、その不動産の安全性は確立され幅広い利害関係者に対しての安全の証明となりえます。
また土壌汚染状況調査という形ではなく、残土搬出に伴う地質分析についても適切な処置を実施することにより安全の証明材料ともなりえます。

しかし法令に基づく調査を実施する場合には、通常よりも行政手続が介入するため予定していた事業計画を大幅に遅らせてしまうリスクを有します。

また土壌汚染関連の法令と残土処分関連の法令等複数の法令が同時に関わる場合などは、その調査方法とタイミングを誤ることで異なる汚染土壌の情報を重複して所有しまう危険性も存在します。

さらに行政との間で適切な意思疎通ができていないことで、再調査及び追加調査を要求されてしまう危険性もでてきます。このようなリスクを低減するには

  • 事業計画を把握し、将来規制がかかる法令をあらかじめ把握しておくこと
  • 行政が要求しうる土壌調査内容を明確に把握して、十分に行政折衝を重ねること
  • 将来改正が予想される調査対象項目及び調査方法を把握しておくこと

などがあげられます。

しかし多くの不動産売買及び証券化では法律及び条例等に該当しないケースであり、その証明基準は各開発事業者に委ねられることとなります。
このような場合、必ずしも土壌汚染対策法で規定する調査内容が適切とは限りません。ある程度の情報を不動産売買当事者間が適切に把握している状態にあれば、その情報をもとに臨機応変な調査方法を選定すればよいのです。

売主及び買主双方がすべての利害関係者の判断基準を明確に理解することで、無用な土壌汚染調査を避け必要最小限の調査を実施し、リスク低減が可能となります。

国際航業のリスクコンサルティング

国際航業は、開発事業者が抱えるリスクに対して、さまざまな解決策のなかで、もっともサイトに適した方策を提案する技術力と経験があります。
また調査・対策の実施に限らず、売買取引における契約書文言のサポートや、他社実施調査・対策の妥当性評価など、いわゆるハードにこだわることなく、ソフトな面でも十分に解決可能な場合に対しても、積極的に取り組んでおります。

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